INDIGO from 琉球
- 皓彦 中道
- 4月15日
- 読了時間: 7分

「INDIGO from 琉球」
このプロジェクトは、〈 ヴィンテージ × 琉球藍 〉のシリーズとなります。
HANGER PARKが大切にしているカテゴリ。
創業当初からお付き合いのある「琉球藍研究所」に依頼して染めてもらっています。
これまでも琉球藍で染めるアイテムもありましたが、役割をはっきりさせるために、「INDIGO from 琉球」としてリリースします。
下記より、琉球藍染の染色方法を明記します。簡単に端折りましたが、それでも膨大な手間をかけるため、説明は長めとなっております。
目次を設定しておりますので、読みたい箇所に飛んで見てみてください。
・染色方法


〈 染色方法 〉
まず、琉球藍染とは。
「藍」は英訳で「Indigo」。
藍色の色素をもつ植物は、インド藍/大青・ウォード/蓼藍/琉球藍が存在します。
琉球藍は明治時代まで、実は広い地域で栽培されていましたが、化学染料の普及により衰退。
現在は沖縄でのみ栽培される貴重な存在となっています。
染めるための工程を大きく括ると、
①植物の栽培
②染料の製造
− 沈殿藍をつくる
− 藍建てをつくる
③染色
となります。
①植物の栽培
琉球藍は沖縄の品種で紫外線に弱く非常にデリケート。そのため、苗は斜光ネットを張ったビニールハウスで慎重に管理して育てられます。
11月に植え付け、翌年の紫外線が強くなる前の、5-6月に刈り取りが行われます。
苗は日光と日陰のバランスが重要な畑に定植され、刈り取った藍葉は大量の水に漬け込まれて染料が抽出されます。
そしてその抽出量は、藍葉の重量の10%~15%。
年間を通じて使用する沈殿藍の備蓄のため、その後も刈り取り作業を繰り返します。
②染料の製造
− 沈殿藍をつくる
沈殿法とは、
刈り取った藍葉と茎を水に浸し、発酵させてインジカンを抽出。
藍葉を引き上げた後、貝灰または消石灰を加えて攪拌し、空気を送り込むことでインジゴ色素を精製します。
最終的に、インジゴ色素は沈殿させてペースト状の沈殿藍として取り出されます。
この方法は紀元前から用いられ、世界最古の染料作りの製法とされています。
刈り取った藍葉を水に漬け込み、発酵を待つことで色素成分が抽出されます。
沖縄の高温多湿な気候では発酵が速く、過発酵を避けるために注意が必要です。
十分に色素が抽出されたら藍葉を取り除き、エメラルドグリーンの液体が残ります。
この液体に貝灰を加えて高アルカリ状態を作り、攪拌して空気を送り込むことで、エメラルドグリーンの液体は青色に変化していきます。
空気を送り込む過程で気泡が発生するため水面が藍色の泡だらけになります。
泡が落ち着いたら、沈殿した色素成分を布を敷いた容器に移し、上澄みの水を取り除いて数日かけて水分を抜きます。
最終的に、色素の塊になった琉球藍、植物の葉から抽出した藍の色素「沈殿藍」の完成です。
沈殿藍の状態では色素の粒子が糸や布に入り込みづらいため染めることはできません。
しっかり染色を行うためには更に次の工程で、微生物の力を借りた「藍建て」を行う必要があります。
− 藍建てをつくる
製造した沈澱藍を水に溶きザルに越して不純物を取り除きます。
しばらくすると、藍の色素と上澄みが分離します。この際、pH値を適切に保つために上澄みを交換し、数日間繰り返します。
(※pH値とは水素イオン濃度(Potential Hydrogen)の略称です。藍の色素は繊維に付着する付着染料と呼ばれています。通常の状態では不溶性(水に溶けない)で繊維には容易に付着しませんが。アルカリ環境下で繁殖する微生物(還元菌)が代謝する過程で不溶性から水溶性になり水に溶ける状態に変化します。そのため藍の染料は常に一定の高いpH値を維持しなければいけません。)
藍の色素は通常不溶性ですが、アルカリ環境下で還元菌が代謝することで水溶性に変化し、繊維に付着しやすくなります。
高いpH値を維持するために、沖縄では水飴や泡盛を加え、還元菌を繁殖させます。毎日2回朝夕に撹拌し、pH値が下がらないように注意します。上澄みにできる泡「藍の華」は発酵のバロメーターとなります。発酵が進むと、染液の色がブルーからグリーンに変化。
染める前に試し染めを行い、発色を確認、十分に染まったら藍建ての完成です。
③染色
藍は空気に触れて酸化する事で発色します。
そのため、染液に漬け込む際に空気をきちんと抜かないと、いびつなムラになりやすいため、手染めで一作品ずつ丁寧に染色していきます。
天然藍染は化学染料とは異なり、狙った色を再現するのが難しい特性があります。
きれいな藍色を出すために何度も染め重ねます。
その後、余分な染料を落とすために何度も水洗いを行い、脱水して干して乾いた状態で色味を確認。さらに濃い色合いを目指す場合は、さらに染め直しを行います。
同じ時間、同じ染液の中に入れていても、気温、天気が違えば染まり方や色合い、濃度がまったく異なります。藍染がまさに「一期一会の色」と言われる所以です。仕上げには、晴れた日に天日干しを行い、紫外線で色素を繊維にしっかり吸着させます。その後、40度〜45度のお湯に浸けてアクを抜き、茶色のアクが出てくるのを確認します。
アクが抜けたら軽く水洗いし、再度乾燥させます。
この天日干しとアク抜きは、色合いを長持ちさせるために不可欠な工程です。
植物の栽培、染料の製造、染色、どの工程も丁寧で緻密は作業が必要となり、「琉球藍研究所」はそれら全ての作業を一貫して行なっています。
琉球藍の色合いは、その気が遠くなるような期間と膨大な手作業で完成します。
※ 文言は琉球藍研究所ホームページより抜粋しております。さらに詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。

第一弾は、ITALIA MILITARY / Over pantsとSWEDEN MILITARY / Surgical gown 。
どちらもデッドストックのヴィンテージに、藍染と共にリメイクを施しています。
前述した通り、風合いは一つ一つ異なるOne of a kind。
本数少なめですが、それぞれを感じてほしい。
また、ヴィンテージのリメイクは「bouclé - HANGER PARK REMAKE COLLECTION」とタグ付けしています。こちらに関してはまた別投稿で書ければと思います。




〈 ITALIA MILITARY / Over pants 〉
当店お馴染みとなっているOver pants。
イタリア軍の雪山の山岳部隊で使用されていたOver pants。
実は、ポリも混ざらないコットン100で、高密度で織り込んであり防風性は折り紙付き。
そしてズドンのワイド。
ウエストは紐で縛るイージー仕様。
オールシーズンいけちゃう万能。
ただ、原型ではミリタリー過ぎるし、スタイリングとしては合わせにくい真っ白でした。
そうしてオリジナルの仕様を変更。
貫通式だったポケットに袋布をつけてポケット仕様に。
前立てが開いていたのを閉じて、裾を縛る紐などを無くして普通の裾に変更。
ちゃんと、日常で使える仕様に。
それから染めの工程。
沖縄にしか原生しない琉球藍で手染めされています。
詳しくは前述しているので割愛します。
黒染、紅茶染、に続き藍染でのリリース。
これまで同様のサイズ感。
リメイクされたモノとしては老若男女全ての方にハマりました。
が、今回は天然の藍染。唯一無二と言える一本が仕上がりました。
Exclusive
ITALIA MILITARY / VINTAGE
Over pants
Dead stock
¥49,500 tax in (45,000)
INDIGO from 琉球
boucle - HANGER PARK REMAKE COLLECTION





〈 SWEDEN MILITARY / Surgical gown 〉
こちらもOver pants同様、
紅茶染シリーズでもリリースしていた、Sugical gownの藍染ver.です。
スウェーデン軍で採用されていた、所謂手術着。
コットン100のネップも混じるメランジ。
現代においては、糸は均一に紡ぐことができるようになったにも関わらず、それでも敢えて不均一なメランジを作り出します。
現代では狙っていますが、その当時は紡績技術が発達してない中での紡績だったための生地の表情になります。
それは染めてもなんとも言えない表情が残ります。
こちらの仕様変更は、袖が長い分をカット。
そのカットした生地でポケットを作りました。
たったこれだけで、圧倒的に使い勝手が良くなりました。
袖先も筒の大きさが調整できるので、ジェンダレスに着てもらえます。
むしろ、女性に人気です。男性にも試してほしい。
それから染めの工程。
こちらも前述しているので割愛。
Over pantsより在庫僅少です。
“Exclusive“
SWEDEN MILITARY / VINTAGE
Surgical gown
Dead stock
¥53.900 tax in (49,000)
INDIGO from 琉球
bouclé - HANGER PARK REMAKE COLLECTION
こういったBlog形式で書き連ねましたが、YouTube動画でもご紹介しております。動きのあるシルエットを確認したい方はそちらをご覧ください。
また、Online storeにも掲載しております。風合いの指定はできませんが、気になる方はDMいただければと思います。
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